「私参ったわー」
「どうしました?」
「たまにはサービスしようと思って、夕べお父さんの顔を見てニッコリ笑ってみたのよ。」
「例の必殺技ですね。」
「そしたら、喜んじゃって、何かご褒美をくれると言うじゃない。」
「うまくいきましたね。」
「ところがぁ。お母さんが横から、この子は本が好きなのよなんて言うから。
こんなに小さいのに本が好きなんて天才だぁ、、なんてお父さんは舞い上がっちゃって。」
「うん。」
「それが、さっそくこのザマよ。いくら本が好きって言ったからって、
こんな分厚い本を何冊も買ってくるなんて。私はやっとオムツがとれたところなのよ。
何を考えているのかしらね。」
「だいたい、私が本が好きだっていうのは、本の上に乗っかるのが好きなだけなのに。」
「大人はなかなか理解できないでしょうね。確かに。」